そんな、
そんな事があるなんて。
私は親との電話を終えた後、リビングのソファの向かいで長い脚を組んでいるジンさんを見る。
携帯を持つ手の力が抜けて、床に音を立てて携帯を落としてしまった。
『ほら、お母さんたち、世界一周旅行って言ってたでしょ? あれ、実はジンくんが『セレブリティ・ジェード・プリンセス』っていう豪華客船の度にご招待してくれててね、すっごい豪華なのよ! ジンくんの従兄弟が船長しててすっごくイケメンでね』
『話が逸れてない?』
『うふふ。そうだったわ。それで、しばらく日本に滞在したいからうちの店に住まわせてっていうけど、うちって道路になっちゃったじゃない? だからそこのマンション、一室空いてたからジン君に貸してあげて』
『ここ! お母さんたちに頼まれて私が住んでるよね!?』
『ジン君はルームフェアでも構わないって。なんなら、結婚しますから問題ありませんだって。きゃあ』
きゃあ、じゃない。
そんな、笑ってすむような事態ではないよ!
つまり、この目の前にいるイケメン外人は、この部屋の住居人としてちゃんと許可がある人なんだ。
色々とありすぎて、お母さんにジンさんと何処で知りあってのかとか聞いてなかったけれど、今は目の前の問題が先だった。



