それはそれで、行きたい。あのジンさんに会うのはちょっと勇気が居るけど、名前が蜂蜜ってだけで急に魅力的になった。

「行けばいいじゃん。さっき、テレビでちょっと話してたけど、あのジンって外国人、店を四つ経営してるみたいだからいつもこのビルにある店に居るわけじゃないみたいだし」
「そ、それならば、ちょっとはいいかも。でも今日はもう大人しく帰るわ」
「おう。じゃあ、明日、定休日だし飲もうぜ、連絡する」
「……気が向いたら」

高瀬はすぐに酔うから、タクシーに乗せるのが面倒なんだよね。
もっと大人のの味方する落ちついた飲み会なら喜んで行くけど、やっぱお酒よりスイーツだ。
甘くて美味しいスイーツが私は好きだ。


店を出て、コンビニで三つも蜂蜜スイーツを買ってから空を見上げた。
大きな満月は、今すぐ蜂蜜が垂れて来そうに黄色い。
でも、あの色はちょっと薄い、甘みが少なそうな色だ。


蜂蜜と言えば―――やぱり琥珀色。
ジンさんの瞳みたいに深みがある色はきっと甘いだろう。