ついに放課後。
私は清掃を全速力で終え、トイレでメイクを整えてから颯斗のいるグラウンドへ向かう。
「どこにいるかなー」
キョロキョロとフェンスから颯斗を探しながら歩いていると、サッカー部の部室前に颯斗を見つけた。
「いた!はー…」
思い切り呼びかけようとすると、そこには颯斗だけじゃなくて、マネージャーの女の子もいた。
颯斗は私には見せないような優しい顔でマネージャーの女の子と話してる。
きっとあの女の子は颯斗のこと好きなんだ。
女の勘が働く。
頬を少し赤く染めながら颯斗にタオルを渡す可愛らしい女の子。
颯斗もああいう女の子が好きなんだろうか。
今まで颯斗が話す女の子がいるなんてあまり考えたことがなかった。
私はショックで立ち尽くしていた。
「あれ、颯斗の彼女?」
「あ、颯斗の友達の…」
「雅也っす。颯斗呼ぼうか?」
「あ、いいの!通りかかっただけだから。部活頑張ってね!」
「ありがとう」
爽やかな笑顔の雅也くんは颯斗の友達で同じサッカー部である。

