「こっち向いて」
私はフルフルと勢いよく首を横にふる。
そんな抵抗もむなしく、いとも簡単に顎をつかまれて上を向かせられる。
「ちゃんと言え」
まっすぐ私を見つめる颯斗の視線から逃れようとするも、逸らすことができない。
「颯斗、も女の子と楽しそうに話してた…っ」
言ってしまった。
一度溢れてしまった思いは止められない。
「颯斗は私といても全然笑わないし、告白したのも私だったからいつも不安で…ほんとに私と付き合ってるのかもわかんなくてっ…なのに…部活の女の子とは楽しそうに話してて…ひっく…ぅ…」
止まったはずの涙はとめどなく溢れ出して拭うのさえ追いつかない。
「私は…っ颯斗のこと大好きなのにぃ…」
自分でも何言ってるかわからないことを黙って颯斗は聞いていた。
すると突然影ができ、不思議に思って顔を上げると颯斗の顔が近づきそのままキスをされた。
ちゅ…
一瞬重なったそれはすぐに離れ、颯斗と間近で視線が交わる。