「ちょっと待ってよっ…ねぇ、」


このままここを出たら颯斗が離れて行ってしまう気がして涙が溢れる。



「はや、と…っごめ…行かないで」


何を謝ればいいのかわからないけど、颯斗に嫌われたら私はどうしたらいいの。


「何で俺が怒ってるのかわかる?」


私は俯きながら首を振る。


「バカ」


「…?」


わからなくて首をかしげると引き寄せられる腰。


「妬いた」


首筋に顔をうずめて話すから息が首にかかってくすぐったい。


「ヤキモチ…?」


「知らないやつと仲良く話してるから」


蓮は仲のいい男友達で、恋愛感情なんて少しもない。


「そんなの…颯斗だって」


途中まで言いそうになって慌てて口を押さえる。


「俺?」


「ちがっ…今の忘れて!」


今まで必死に隠してきた私の黒い心。

いつもモヤモヤして醜い心。

こんなの颯斗に見せたら嫌われる。