1人が大きな声を出すと黒髪の男は煩い、とばかりに彼を睨む。



彼の腕の中にいる女は小さく身じろぎをしてまた彼に擦り寄る。それを優しげな表情で見つめる彼には慣れてしまったがどう対処すればいいのか分からないのも事実。
…彼女さえ起きていてくれればある程度はマシなのだが。





「……ん、ぅ?」





寝起きの甘い声に、ピクリと黒髪の男が反応する。



優しく髪を撫でて「どうした?」とこれまた甘い声を出す。



……彼女限定で。





「ん、ヤッ……」





黒髪の男の首に手を回して彼の首筋に顔を埋める彼女はまだ眠たいらしい。



彼女を抱き上げて、彼は奥の部屋へと去っていく。





「……じゃあ、アイツらで決定なー」