『さっさと謝ってこいよ』
「いや、無理」
『は?』
意味が分からん、という声が耳に届く。そりゃ、そうか。だってよ、
「人前で香織の口端にキスした理由がアイツと出くわして苛立ったから、なんて言えるか?」
全ての元凶はアイツ、俺の片割れだ。そんな理由で香織の口端にキスした……つーか舐めたなんて言えるかよ?
『……会ったのか、珍しい』
電話越しのアイツの淡々とした声が聞こえる。確かに、校内でも会うことなんてない。まず、お互いに避けてるからな。
「ああ、相変わらずだった」
事実を知らず、護られるお姫様。香織とは違う、傲慢なお姫様。そんなアイツなんか、
「……大っ嫌いだよ、アイツなんか」
何も知らずに、苦しめばいい。

