柔らかく華奢な彼女の身体。その上小柄な彼女は現在は寝ているが起きている時はこの黒髪の男の方が彼女を手放さない。いや、現時点でもそうではあるが。



静寂、無言。誰一人言葉を発しなくなったのはこの男のせいである。



つい先程まで、彼女は起きていた。その数十分後、彼の腕に抱えられてまるで子猫のように丸まって甘えるように抱かれてきたのだ。



その時、不意に見えたのは(見たくもなかったに違いないが)赤の印。



首元に集中的に付けられたそれは紛れもなく彼の独占欲の証。



酷く優しげな表情で彼女の髪をすく彼はまるで壊れ物を扱うかの様に優しげに彼女に触れている。
当の本人は未だ夢の中で、そんなことは知らないが。
……実質、起きている時の独占欲が半端ではないことなど身を以て知っているのではあるが。