美味しい朝ご飯を食べ終わって、洗濯物を持って洗面室へ向かった。
瞳人は既にいて、洗面台を掃除していた。
水垢ひとつなく新品同様にピカピカだ。
私が来たことに気づいた瞳人は手を止めてこちらを向いた。

「ありがとうございます。早速ですが、小春様が思うように洗濯機に洗い物を入れてみて頂けますか?」

入れるだけじゃんと持って来てそのまま洗濯機に入れた。
すると、瞳人が入れた洗濯物を全て取り出した。
入れるように言われたから入れたのにすぐに取り出されて、少しムッとしてしまった。

「すぐに取り出してしまい、申し訳ありません。ですが、白い洋服と濃い色の洋服を一緒に入れてしまっては色移りしてしまう可能性があります」

説明しながら、淡い色のものと濃い色のものと分けていく。
そして、タオルでぐるぐる巻きにして隠していた下着が取り出された瞬間、ものすごい勢いで瞳人からぶん取った。
呆気に取られていたが、これだけは見られたくない!

「お、教えて頂いてるのに申し訳ありません!ですが、これに関しては口頭でお願いします!!」
「配慮が足りず、失礼いたしました」

スッと立ち上がって頭を下げる瞳人。
それを見て慌てて首を横に振った。
親切に教えてもらってるのにこんなに取り乱してる自分が幼稚すぎる…。
シュンとした私の頭にポンと瞳人の手が降りて来た。
そっと撫でられると、気持ちが落ち着いてきた。
目線を上に上げると、瞳人が微笑んでいた。

「では、続きですが…」

離れていった手が名残惜しく感じたが、瞳人の説明に耳を傾けた。
説明通りに洗剤等を入れ、無事に洗濯機が動き始めた。
洗濯機動かすだけでも、気にしないといけないことが結構あるんだな…。
洗濯ひとつで、母の凄さを感じた。

洗濯機が止まって、洗濯物を干す時にも下着が見られそうになって慌てて瞳人を止めた。
そして、洗濯だけはひとりでやると宣言した。

洗濯するだけで、すごく疲れた…
一人暮らしし始めたらこれ、ひとりでならないないとらいけないよね。
流石にキーパーさんにお願いするなんとことは無理!
女性のキーパーさんだったら話易いんだろうとは思う。
…いや、やっぱり同性でも恥ずかしいわ。
ひとりでできるように頑張ろう、うん。