あれから空は全然話さなくなってしまった



美味しいはずのアイスも味なんてしなくて
帰ろうと言う空の言葉に頷いた






「あれ…2人とも早いですね」




不思議そうに言う新庄さんに苦笑いをして車に乗り込んだ



車に乗っても空は口を開こうとしない

だから私も話せない



そんな私たちの空気を察して新庄さんも話さない


行きはあんなにワクワクしてたのに、今はとても長く感じる時間




期待なんかした
自分を責めた



子供の私には分からない大人の世界だったのかもしれない



空と離れたこの7年
もう一度会いたいと願い続けた日々



そうだよね



「ごめんね、空」


自然と出た言葉だった


空が驚いたような傷ついたような顔で私を見ている



「つきましたよ」



どれくらいの時間が経ったのか気がついたら家についていた



車から降りて空に向き合った



こんな状態が続くのは嫌だった





「ごめん、空。ちょっと出掛けてくるね」




最低限のものはカバンに入っている



空の返事を待たずに私は歩きだした


別に優子と呼んだことに
怒りを感じる訳じゃない



何も言わない空に寂しさを感じただけ





期待してたけど、やっぱり空は追いかけてきてくれなくて…


私はあのアパートに向かった

あそこは私の唯一の殻だ




繁華街を通ってアパートに行こう


そうして繁華街の中へ足を進めて少し前にいる人物を見て私の足は止まった




胸がドキドキと激しく鳴る




そんな訳ない

私は自分の目を疑うしかなかった






目の前には昔の空、
私と遊んでくれて、支えてくれて、守ってくれて…突然私の前から姿を消した


あの時のお兄ちゃんと同じ顔の人がいた