トントンッ
「しーちゃん?俺だけど、いる?」
ドアをノックしても返事はない
いないのか…そう思って家に帰ろうとした
その時
「……おにぃ…ちゃん…」
扉の向こうからか弱い声が聞こえた
間違いない。慎の声だった
「しーちゃん?いるのか?」
声は聞こえない
ガチャ
扉を開けて俺が見たものは
真っ赤に染まって倒れる慎の母親と、側で呆然とする慎
そして包丁を握って立っている父親だった
その光景を見れば何が起きたのか一目瞭然だった
その後は全てが早かった
俺は父親から包丁を取り上げて警察に連絡した
すぐに来た警察に連れていかれた父親
目の前に倒れた母親を連れて行かれる慎
見てられなかった
絶望しか映さない瞳
いつもの無邪気な笑顔はなく、感情なんて読み取れなかった
慎に話を聞きたいと警察は慎を連れていこうとした
なんて非情なんだ
1人で行かせるわけにもいかず、俺もついて行った
パトカーに乗っている間、俺は慎の手を握り続けた
警察で話を聞かれた後、部屋に返すわけにもいかない
でも実家には連れていけない
ということで、俺の部屋に入れた

