「よく帰ってきてくれたな」
なんだよ。なんなんだよその弱々しい面はよ
「継ぐためじゃねえから」
そういうとフッと笑いやがった
「継ぐのがそんなに嫌か」
「は?んなこと当たり前だろ」
親父の前に行く
昔は真正面から見られると俺の方が怖くて目を逸らしていた
「お前には悪いことをした」
悪いことをした?あれだけ俺を殴っておいて、あれだけ辛い思いをさせておいて
弱々しい親父に対して怒りしかなかった
「…ざけんな」
「そら」
「どんだけ辛かったと思ってんだ。悪かっただと?」
「お前はヤクザに向いている」
「話になんねえよ」
俺は扉に向かって歩きだした
来るんじゃなかった
「ヤクザを恨むのは構わない。それだけのことをお前にしてきた。でも1つだけ言っておく、お前は逃げてんだよ。俺から。俺と向き合え」
なんなんだよ…!!
「俺に愛情を一つも与えなかったくせに今更ふざけんじゃねぇ」
これまではそれが普通なんだと思っていた
どんなに俺に厳しくても、笑いかけなくても心のどこかでは俺を愛してるんだって純粋だった俺は信じていた
でも、慎と慎の母親に出会って俺は愛情なんて与えられてなかったと知った
いつも慎の手を握って歩く
いつも慎に笑いかける
いつも楽しそうに慎を見つめる
いつも慎を命を懸けて守る
それが本当の愛情なんだって知ってしまった
だから怒りしかなかった
俺は早足で家に帰った
慎がいるあのアパートに
慎に会ってあの無邪気な笑顔で笑って欲しかった
何も穢れてない純白な慎
あいつは俺が守ると決めたんだ

