微笑んだ先に咲く花




コンコンッ


「空?はいるね」



意を決してドアを開けるとベッドに座って空が私を見つめていた



「…さっきはごめんね。」


「いや…俺が悪いんだ」


「話ってなに?」




空を見ると途端に頭を下げてきた


「…悪かった!!新庄から聞いたんだ、昨日の夜のこと」



「…そっか」


「俺のこと軽蔑したと思う。だから…慎がここに帰って来ないんじゃないかって…優子のことも…説明してなくて…」



「軽蔑なんてしてない。それに優子さんのことはもういいから」



「え…」


「明さんから聞いてるから。大体のことは」




ニコッと微笑む

だけど空に表情は無くなった




「…アイツに何を」


「優子さんとのこと」


「…なんて」


「…お兄ちゃんはさ、何味のアイスが好き?」



「え…」



驚いている空に微笑みかける



「…俺は、抹茶かな」




ズンと心が沈んだのがわかった

やっぱり、覚えてないよね



「それがどうしたんだ…」


「私だけか…」


「なにが…」


「…何にもない!ほら、もう話は終わりにして、お兄ちゃんは寝て」




無理矢理身体をベッドに寝かせる

その驚いた顔も昔の面影があって…
今は真正面から見れない


少し顔を逸らして笑顔をつくる



「慎っ…!」


「私ちょっと学校に忘れ物したから」



ベッドから離れたくても


「…離して」


私の手を空がしっかり掴んでいた





「慎…」


「お兄ちゃん」


下を向いている空の表情は分からない




「…お兄ちゃんなんて…呼ぶなよ…」



「…」



「お兄ちゃんなんて呼ばないでくれ!昔を思い出すんだ…」



その泣きそうな声に私まで辛くなる



「…いくら助けたくても…俺は慎とお母さんを助けられなかった…まだ俺は17で慎も10歳で…」



「…そんなこと」



「俺は…家族に愛されたことなんてなくて…独りだった俺を…息子みたいに可愛がってくれた慎の母親を…」



裏切ったんだ