ー春川慎ー
「「……………………」」
私が挨拶をした瞬間、さっきまでの騒がしさが嘘のように静まった
視線が痛い…
誰とも目を合わせないように席に急ぐ
有さん…
私は何も出来ずにただ下を向いて唇を噛んでこの沈黙に耐えた
「…挨拶…あ、おはよ!!」
その声に驚いてそっちを見る
確かあの子は、弘くんといつも一緒にいる
そんなことよりもその子だけでも挨拶してくれたことが何よりも嬉しかった
「…おはようございます…直人くん」
今度は直人くんの顔を見て挨拶するけど、恥ずかしくって下を向いてしまう
顔を上げずに急いで席に座る
とりあえず…有さんとの約束は守ったのかな?
嬉しくて嬉しくて、すぐにでも有さんに話したくなった
1人だけでも挨拶を返してくれたことが嬉しくてお昼休みになって、いつもみたいに1人でのご飯なのにちょっと楽しかった
早く有さんに言いたい……
私はその日1日幸せで、過ぎるのがとても早く感じた
STを終えて急いで校門へ向かうと、約束通り有さんがいてくれた
その表情はいつもみたいな意地悪ではなくて、少し不安そうだった
「有さん!」
急いで有さんに駆け寄る
「おう、おかえり」
「ただいまです!」
どうだったのか聞きたそうにしてる有さん。やっぱり優しい
「1人だけですけど、おはようって」
笑顔で有さんを見ると
有さんも笑っていた
「当たり前だろ!挨拶して返さねぇ方がおかしいだろ」
早く乗れよと急かしてきたので助手席に乗り込む
「あ〜でも緊張したんです」
「でも結果オーライだろ」
「まあ、嬉しかったです」
明日も挨拶しようかな。
ボソッと呟くと有さんは、あぁ。とだけ言った

