新庄さん?
いつもよりも笑顔の新庄さんが3人を見ていた
「…若、失礼ながら申し上げますが、空さんは今朝から高熱が出ており今やっと下がってきました。しかしいつまた無理をすると熱が出てしまうかわかりません。そんな簡単なことは小学生…失礼、幼稚園児でも察することができるでしょうにウチの若には少々難しかったでしょうか。それともそういった教育をされなかったんですかね。まったく…若の親御さんのお顔を拝見して見たいものです。お食事中は話さず、落ち着いて食べることは常識のはずですが、若の辞書の中には常識という言葉すら載っていないんでしょうか。でしたら教育し直す必要がありそうですね。そうは思いませんか、凛さん、剛さん。成人済みのお二方が未成年の彼等に教えるべきだと思います。何か御意見がおありですか」
「………………。」
誰も言葉を発せないほどの迫力だった
いつも優しそうに皆を見つめているその目は見るだけで背筋が凍りつくほどで
いつもの優しい口調は満面の笑みを浮かべながら話す新庄さんから氷柱が出ているようで
要するに、新庄さんは
笑いながらとても怒っていた訳で。
「あ、いやあの…すみません」
沈黙を破ったのは剛さんだった
正確に言えば、破らざるを得なかった
笑いながら剛さんを見続けるその視線は何か言えと責めるような感じで
「何についての謝罪か分かるようにお願いしますね。」
「何にって、その、空を誘ったことと飯食ってんのに喋ったこと…」
恐る恐る剛さんが言うと新庄さんは、はぁ…とため息をついた
「違いますよ。常識というものを教えずに弟を育てたことでしょう。」
今度は廣瀬くんの肩が震えた
「はぃ…すみませんでした」
「まったく…凛さんも同じことだと理解していただけましたか?」
「…わ、わかった」
その返事を聞くと満足そうにいつもの新庄さんに戻った
「では終わりましょう。あまり無理をさせないのなら空さんとお話しすることを許します」
よろしいですか?という視線が空に向けられた
「あぁ、大丈夫だ」
…結局もう決定事項だった訳だ
新庄さんは普通にご飯を食べ始めてる
けど、食卓はまだ凍りついたままだった
今日私は学んだ
ヤクザと言っても橘さんや凛さんが怖いのではなく、一番怒らせたらダメなのは新庄誠なんだと。

