「慎ちゃん…聞いて欲しいことがある」
神妙な面持ちで話し出す
「俺さ、
優子さんが好きなんだ。」
なんとなく分かってた気がする
昨日の対応で、表情で
「だから、ちょっとでもあの人に好かれたくて…
慎ちゃんのこといろいろ教えたんだ
有から聞いたこと全部」
有さんはきっと全部話したんだろうな
私の今までの人生全部
「そしたら…優子さん…
ズルイって。」
耳を疑った
「…ズルイ?」
「そう。
人から同情かえるから羨ましいって言われた
そんな同情かえて、兄貴からも愛されて、慎ちゃんのこと憎いって
絶対に兄貴を奪ってみせるって…」
呆れて言葉も出なかった
「俺が自分の気持ちを守るために優子さんに協力したせいで、兄貴や慎ちゃんが不幸になるんじゃないかって…」
「だからそれを言いたくて?」
「ごめん…そんなつもりじゃなかったんだ…
優子さんにちょっとでも俺のこと考えて欲しかった」
人にはたくさんの感情がある
優子さんみたいに私を羨ましいなんてこと思う人がいる
それがとても恐ろしくて、同時に激しい怒りを感じた
じゃあどうして優子さんじゃないの
何で私なの
私は父さんも母さんも失いたくなかった
「…明さん」
呼ぶと少し顔を上げてくれた
「優子さんに、少しでもそんなこと思わないでくれって言っておいてください
両親を失う悲しみは、そんな簡単な言葉だけじゃ表せないんです」
「…わかった、」
「明さんが優子さんを好きならそれは別にいいです。
でも申し訳ないですけど、私は優子さんが嫌いです、
同情なんて邪魔になります
私の過去がどれほど私を放してくれないか…
ごめんなさい明さん
もう貴方の顔を見たくない…」
途端、瞳が大きく揺れた
「昔の空にソックリなんです、明さん
空にそんなこと言われてる気がしてきちゃうから。
…ごめんなさい帰ります」
明さんの返事を待たずにホテルを後にする
今無性に空に会いたかった
誰よりも先に空の胸に飛び込みたい
大丈夫だと言ってほしい
今信じられるのは空だけだから

