微笑んだ先に咲く花






「やべぇな可愛い」

「録音しときゃよかったな」



「こんの馬鹿共がぁ!!!!!」


パァンッ!!


「「いってぇ!!!」」



凛さんの怒声と共にどこから出てきたのかハリセンで2人は叩かれた



「今までの慎ちゃんの気持ち考えなさいよ!そんなことで…」


「…ごめん。慎ちゃん、友達になろ?」


「うんうん!俺からも。明日から一緒に学校行って、弁当食べよ」




すごく申し訳なさそうに謝ってくるから笑っちゃう


「ありがとうございます」


そう言うと明らかにホッとしたみたい


「じゃあ、明日は一緒に学校行こうな!」


「はい」


「あーよかった!そうだ母さん腹減ったよ」




さっきの表情とは変わって今度は明るい笑顔になった




そんな息子を見て凛さんは優しく笑う




プルプルッ



柔らかい雰囲気の中を私の携帯電話の音が切り裂く


「あ、すみません」


一言謝ってから廊下に出て電話をとる




「はい…明さん?」


電話は明さんからだった



「慎ちゃん、今から会えるかな…」


その声は辛そうで悲しそうだった


断れる訳なくて…


「大丈夫ですよ、どこに行きますか?」


「もうすぐ着くんだ。歩きだけど」


自嘲気味な声が聞こえる




「すぐに準備しますから」



電話を切って空の部屋に向かう




ガチャッ…



ゆっくり開けると気持ちよさそうに空が寝ていた

まだ薬が効いてるのかも




出掛ける時は言うって言ったけど今起こすと寝れなくなりそう



私は空の黒髪を撫でて部屋を出た









「凛さん、すみません。少し出掛けてきますね。」


「はーい!気をつけるのよ」



気をつけるのよ。その一言がどれだけ嬉しかったか。


機嫌よく家を出ると目の前に明さんがいた



「…明さん」


「ごめんね、慎ちゃん。」


「いえ…どうしたんですか?顔色が…」


明さんは気分が悪そうな感じだった




「大丈夫。取り敢えず2人っきりで話したいんだ、昨日の所でいい?」


小さく頷く



「よかった…。」


そう言って笑うけどその笑顔が切なくて、ますます心配になる




ホテルへ向けて歩いている間も会話はなくて、道いく人の声が聞こえるだけ



その時間が長くて、歩いても歩いても着かない気がした




やっと着いたホテルのロビーで店員さんが明さんに挨拶しても曖昧に返すだけ


どんどん先を歩く背中に不安が募る




今思えば明さんが私に話したいことなんて優子さんのことしかない


きっと聞いたら悲しくなるんだろうな



いろんな考えが浮かんでは消える





ガチャッ


「入って。」



促されて部屋に入る



ベッドに座った明さんは隣を叩く


大人しく隣に座ると明さんは
ごめんね
確かにそう言った