……………………
コンコン
「はい、あ、しーちゃんどうした?」
学校帰りのお兄ちゃんが制服のまま扉を開ける
少し不安そうな顔をする
「なんだと思う??」
一生懸命作ったものを見えないように背中に隠しながらニッコリ笑う
「うーん…何かあった?」
私がいじめられたと思ったのか神妙な面持ちになる
「ブッブー!慎がね、作ったからお兄ちゃんにあげる!!」
そう言って背中から大きめのお皿をお兄ちゃんへ差し出す
「ん?なに?ポテトサラダ?」
それを見て少し安心した顔になる
「そう!お母さんと2人で作ったの!お兄ちゃんにもあげる!食べて食べて!」
お兄ちゃんに美味しいって言ってもらいたくてその場でせかす
「へぇ、すごいね、しーちゃん」
お兄ちゃんは嫌な顔をしないでラップを取って手で食べた
「どう?どう?美味しい?」
焦って聞く私に少し笑いながら美味しいって言ってくれた
「よかった!じゃあお兄ちゃんも勉強頑張ってね!」
手を振って隣の家に帰る
どうしてもお兄ちゃんに食べてもらいたくて。美味しいって言って欲しかった
美味しいって笑ったお兄ちゃんにちょっとドキッとしたのは内緒
…………………
あの時嫌だっただろうに玄関先で手でポテトサラダを食べてくれた空
今思えば面倒な子供だったなって思うけど、嫌な顔1つしない空が嬉しかった
お母さんに空に美味しいって言われたってはしゃいで報告した
と、他にも何か作らないと。
もう一度冷蔵庫を開ける
卵と…鶏肉、玉ねぎ、か。
「親子丼にしようかな」
長い間一人暮らしだったからかまあまあ料理はできる方
大量の親子丼を作っていると遠くの方で声がした
「ただいまー」
凛さんだ
ガチャ
「慎ちゃん!?」
両手に袋をたくさん下げた凛さんは台所に立つ私を見て驚いている
「あ、凛さんおかえりなさい
ごめんなさい。何か役に立ちたくて…夜ご飯を。
勝手に台所入ってごめんなさガバッ!!…うぅ」
最後まで言う前に凛さんに思いっきり抱きしめられた
「何ていい子なの!?家に帰ってきて女の子が台所に立ってしかも料理してくれてるなんて…!!感動よ!感動!」
抱きしめる力が強くなる
「凛さん、」
「あら、ごめんね。つい嬉しくて。
あら!親子丼?」
「はい…ポテトサラダも一応…」
そう言うと凛さんの目がキラキラ輝く
「やっぱり女の子っていいわね!!!」
袋の中身を冷蔵庫にしまってエプロンを着けて私の隣に立つ凛さん
「キャーー!!これ夢だったのよ!女の子と一緒に台所に立つの!」
…まあ、凛さんの迷惑になってないならよかったかな。

