あんなに夜は賑やかなのに誰もいないリビングは寂しくて、
「家に帰ろうかな」
誰もいないあのアパートに久しぶりに帰りたいとなんとなく思った
ガチャ…
「…ただいま」
結局空には何も言わずに家に帰ってきた
たった2、3日なのに懐かしく感じるのは何でだろう
部屋のカーテンを開けて窓も開ける
このアパートは日差しだけは最高で、よく日向ぼっこをしてた
部屋の中を見渡すとベッドの横に置いてある家族写真とお母さんの写真
それを見ながらペンダントを握る
私がここのアパートを離れない本当の理由
「…仁くん…」
私の声は静かな部屋に虚しく消えた
今までずっと1人だったのに、今は1人が落ち着かない
ペンダントを離して家を出る
「あら!慎ちゃんじゃないの!」
「おばさん、こんにちは」
話しかけて来たのは近所に住んでいるここの大家さんの木村さん
あの事件があってからこのアパートは取り壊しの予定だったのに、私がここに残ると言ったらその予定を無くして近くでいつも私を見守ってくれた人
いわゆる恩人
少しポッチャリ体型の木村さんはなんか安心感があって…
1人になってからよく木村さんの家に遊びに行っていた
「最近帰ってないみたいだけど、大丈夫なの?」
心配そうな顔を向けられる
「大丈夫です、昔の知り合いの家に泊まってて。」
「ならいいけど、何かあったらいつでも電話でもメールでもしてね?」
実は木村さんとはメル友なんです
木村さんの絵文字は文に合ってなくて笑っちゃうけどそういう所も大好きで
「遠慮なくメールしちゃいますね」
「いつでもどうぞ!今日家カレーなのよね〜てことで、またいらっしゃいね」
ルンルンとした感じで木村さんは買い物へ向かった
さて…そろそろもう一つの家に帰ろうかな
さっき来た道を戻っていく
あれからちゃんと寝たのかな…
やっぱり薬だけでも飲ませればよかった
ちょっと後悔

