「ありがとうございます」
お礼を言ってレジに行こうとすると何故か薬剤師さんに手を引かれて棚の間に連れ込まれた
「…え、まだなに、か」
「これ、俺の名刺。いつでも電話していいから、待ってるね」
「………なんですか…」
なんで薬剤師さんに連絡するの…
薬剤師さんはフッて笑って行ってしまった
最近の薬剤師さんは名刺くれるものなの?
顔がまだ紅いのを気づかないフリをしてレジで薬を買ってスーパーに向かった
うどん買って、スポーツドリンクもいるし熱さまシートも、あとは…
「これ、」
…………
「しーちゃん、これあげるよ」
高校から帰ってきたお兄ちゃんは私に1つの缶をくれた
「…これなに?」
「これは、飴がたーっくさん入ってる魔法の缶だよ。しーちゃんが寂しい時とか悲しい時に食べると元気になるよ」
「ホント!?お兄ちゃんすごい!ありがとう!大切にするね!」
それはどこにでも売っている缶のドロップだった
今思えばお兄ちゃんが私を洗脳させただけだけど、すごく嬉しかった
嫌なことがある度に舐めていたらすぐになくなってしまった
……………
ハッカの飴が苦手だったけど、空がくれたからって我慢して食べてたっけ
お菓子売り場の片隅に置かれた缶のドロップを見てついつい笑みがこぼれた
そして買い物カゴに入れた
「ただいまー」
なるべく音をたてないように玄関に入って急いでうどんを作った
温かいうどんに卵を1つのせた
うどんは私の得意料理の1つ
そんなにやることないんだけどね
ガチャ
「そらー?寝てるよね、」
まだ少し苦しそうに寝ている空を小さく揺する
「…しん。」
虚ろな目で見上げられる
「うどん食べれる?薬買って来たから食べて欲しいんだけど」
ふわっと笑ってから体を起こしてくれる
「慎が買ったきてくれたの?薬」
うどんをゆっくり食べながら空に聞かれる
「そうだよ、薬剤師さんに聞いて買ってきたから大丈夫」

