鼻歌交じりの彼女が俺の前を歩く。 雨は止み、アスファルトに出来た水たまりが澄み渡った青空を映して、彼女の周り全てが空になっていた。 濡れた彼女の髪がキラキラと輝くのを舌打ちしながら見やり、空の中を歩く彼女を愛おしく見つめていた。 「好きって言って。」 「好きじゃねぇ。 ――――愛してる。」 偽物の空は、本物の空を手に入れた自惚れ屋。 「永遠に自惚れさせろよな。」 彼女に聞こえない呟きは、真っ青な空に吸い込まれた俺の願い。 ――完――