愛しい人が『奈瑠』と私の名前を呼ぶ。

私を視界に入れてくれる。

隣にいてくれる。



―――抱きしめてくれる。



それ以上に幸せなことなんてない。




それに気付いたのが、私はあまりにも早すぎたんだと思う。

だから、想い出を“思い出”にできなかったんだ。