「僕……行きたい」
睦月君が先生にねだってきた。
「何だ?行きたいのか?
なら、お姉ちゃんと2人きりで行って…」
するとジッと先生を見つめる睦月君。
「…………。」
黙りこむ2人。
しかし、一向に目線を逸らさない睦月君。
完全ににらめっこだ。
すると先生は、ハァッ……と深いため息を吐いた。
「分かった。
一緒に行けばいいんだろ?ったく…」
ブツブツと言いながら承諾してくれた。
睦月君に押し負けた。
凄い……先生相手に勝ったわ!?
「本当ですか!?良かった…。
良かったね。睦月君」
嬉しそうに言うとこちらを見て
コクリと頷いてくれた。
ため息を吐いている先生に
「アハハッ…いくら藤崎でも
自分の息子には、勝てなかったか」
浜野さんは、そう言いながら笑っていた。
「うるせーぞ?大輔」
先生は、ギロッと睨み付けた。
私は、可笑しくてクスクスと笑ってしまった。
行く理由は、どうあれ
先生と睦月の3人で遊園地に行ける。
それがとても嬉しかった。
楽しみだな…早く行きたい。
ランドに行くのは、日曜日に決まり
楽しみに待っていた。
そして当日。
「えっと…忘れ物は、ないわよね?
ハンカチ、ティッシュ…それから…」
何度も忘れ物が無いかチェックした。
肝心な時に忘れ物をしやすい私は、
何度かチェックをしないと不安で仕方がない。
よし。OK。
すると睦月君が部屋に入ってきた。
「あ、呼びに来てくれたのかな?
睦月君は、忘れ物ない?」
そう言うとコクリと頷いた。



