イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)


「僕……行きたい」

睦月君が先生にねだってきた。

「何だ?行きたいのか?
なら、お姉ちゃんと2人きりで行って…」

するとジッと先生を見つめる睦月君。

「…………。」

黙りこむ2人。
しかし、一向に目線を逸らさない睦月君。

完全ににらめっこだ。

すると先生は、ハァッ……と深いため息を吐いた。

「分かった。
一緒に行けばいいんだろ?ったく…」

ブツブツと言いながら承諾してくれた。
睦月君に押し負けた。

凄い……先生相手に勝ったわ!?

「本当ですか!?良かった…。
良かったね。睦月君」

嬉しそうに言うとこちらを見て
コクリと頷いてくれた。

ため息を吐いている先生に

「アハハッ…いくら藤崎でも
自分の息子には、勝てなかったか」

浜野さんは、そう言いながら笑っていた。

「うるせーぞ?大輔」

先生は、ギロッと睨み付けた。

私は、可笑しくてクスクスと笑ってしまった。

行く理由は、どうあれ
先生と睦月の3人で遊園地に行ける。

それがとても嬉しかった。

楽しみだな…早く行きたい。

ランドに行くのは、日曜日に決まり
楽しみに待っていた。

そして当日。

「えっと…忘れ物は、ないわよね?
ハンカチ、ティッシュ…それから…」

何度も忘れ物が無いかチェックした。

肝心な時に忘れ物をしやすい私は、
何度かチェックをしないと不安で仕方がない。

よし。OK。

すると睦月君が部屋に入ってきた。

「あ、呼びに来てくれたのかな?
睦月君は、忘れ物ない?」

そう言うとコクリと頷いた。