「……そうですね。会える時間を
大切にしないといけませんよね」

ニコッと私は、先生に笑顔を向ける。

だから私も大切にしたい。
先生と過ごせる……この瞬間を。

「……アホ。」

私の思った事に気づいたのか
先生は、左手で軽く小突いてきた。

えへへ……何だか嬉しくなった。

この空間が好き。
恋人同士ではないけど……温かい気持ちになるから
そして、マンションまで車を走らせた。

先生の自宅マンションに着くと駐車所に車を停めて
マンションの中に入る。

ドアを開けようとした先生が急に
開けるのを止める。

えっ?どうしたのだろうか?

「先生……どうかなさいましたか?」

「部屋に……誰か居る」

えぇっ!?

先生も私も外に居るのに
誰か居るはずがないじゃない!?

ま、まさか……泥棒?

「ま、ま、まさか泥棒でしょうか?」

有りえるわ……ベストセラー作家のご自宅なら
お金や金属物がたくさんあるはずだもの。

どうしよう。刃物とか持っていたら
何とか睦月君だけは、助けなくては……。

「お前らは、外に居ろ。
俺に何か遭ったら、すぐに
下に行き警備員を呼べ。いいな?」

「は、はい。」

私は、先生の後ろに隠れながら返事する。
睦月君をギュッと抱き寄せながら