「上手、上手。睦月君。
上手に潰れているわよ」

褒めるとさらに一生懸命に潰してくれた。

フフッ…その姿も可愛らしい。

「涼花。潰すのは、いいけど
材料を入れるのを忘れないでよ?
あと塩とコショウも」

お母さんがそう言われる。

「あ、はーい。」

おっといけない。
こっちに夢中で忘れていたわ。

私は、慌てて材料の準備した。
作るのは、コロッケ。

用意をした材料を入れて混ぜ合わせる。

睦月君も混ぜるのを手伝ってくれた。
小さな手でこねこねしてくれる。

そして出来上がったコロッケは、
美味しそうだ。

揚げたのは、お母さんだけど

「先生。今日のコロッケは、
睦月君も手伝ってくれたんですよ」

私は、先生に出来上がった
コロッケを乗せた皿を見せた。

「ほう。睦月がか……」

「はい。一緒にジャガイモを潰したり
混ぜたりしてくれたんですよ。
美味しそうですよねぇ~ぜひ食べて下さい」

ニコニコしながら差し出した。

先生は、徐に小皿にコロッケを移してくれた。

睦月君は、ジッとその姿を見ている。

ドキドキと心臓が高鳴った。

私も先生の味の感想が気になる。

「……見るな。食べにくいから」

「あ、すみません。」

申し訳なさそうに後ろに引っ込める。
すると先生は、コロッケを一口食べた。

サクッといい音がする。

「うむ。なかなか旨いな」