イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)


あの後。
睦月君は、喋り過ぎたせいで熱を出してしまった。

申し訳ないことをしてしまった。

ごめんね……睦月君。

後で聞いた話だと先生は、私が飛び出した後
追いかけてくれたが私が梨子と
電話で話しているのを聞いていて。

自宅に行くと聞き
あえて声をかけなかったそうだ。

そして雪城さんは、
あれから先生の担当から外されることに。

つまり私も教育係ではなくなった。

雪城さん本人は、不服として編集長に猛抗議したが
『蓮見先生のお子さんの機嫌を損ねた』

『子供扱いが下手過ぎ』などと
逆に自分の評価を下げてしまったらしい。

ある意味、申し訳ないことをしてしまった。

確かに先生の言った通り無闇な理由で
担当を外していたら
私も自分の評価を下げていたかも知れない。

改めて先生は、凄い人だと思った。

そして私は、いつもの通りに
先生の担当編集者として
毎日奮闘することになった。

「睦月君。ごめんね。
オムライスの形が上手く作れなかった」

またもや形が微妙な失敗した
オムライスになってしまった。

なかなか雪城さんみたいに作れない。

しゅんと落ち込んでいると睦月君は、

「大丈夫。お姉ちゃんのは、形が微妙でも
その分、愛情がいっぱい詰まっているから」

何とも可愛いことを言ってくれた。

「まぁ……そうだな。
だが、俺の方が上手く作れるな」

「あ、先生。酷い……。
なら先生が作って下さいよ~」

「アホ。それは、お前が作れ」

先生の方は、たまに意地悪を言う。
でも、ここが私の居場所になっていた。