「あ、いえ。コイツが気になって
勝手に連れ出しただけなので
気にしないで下さい」

先生が私の代わりに応えた。

ガーン!!

いや、確かにそうなのだけど……。

「フフッ…それより驚いたわ。
竜ヶ崎さんに声をかけられた時には…」

クスクスと笑いながら言う拓馬君のママ。

「すみません。綺麗な方ですね。
竜ヶ崎さん。上品で奥様って感じで」

「あら、本物の奥様なのよ。あの人」

そう教えてくれた。

えっ?そうなの!?

驚いたけど、納得する。
道理でそんな感じがした訳だ。

「個人病院『竜ヶ崎クリニック』の
院長先生の奥様なの。
竜ヶ崎さん自身もそこの医師をしている
優秀なお医者様なんですって」

そ、それは、凄い。

奥様だけではなくお医者様だなんて
次元が違い過ぎる!!

さらに私は、驚いてしまう。

「しかも保護者会の会長も
なさっているから誰も逆らう人が居ないの。
まぁ、奥様は…上品な方だからいいけど
ここだけの話…旦那様には、
気をつけた方がいいわよ。
かなり教育とかうるさい人だから
幼稚園にも何度かクレームを入れたぐらいだし」

こっそりと教えてくれた。

「そうなのですか!?」