イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)


「あ、ありがとうございます……」

突然そう言われたので驚いてしまい
なおさら息子ではないと言えなくなってしまった。

「坊主。これも味見をしてみるか?
これは、何を隠し味をしたと思う?
当ててみろ」

料理長らしき人は、あれから色々と
味見をさせてくれた。
しかも、すべて言い当てる睦月君。

凄過ぎる。すっかり気に入られてしまい
大きくなったら、ウチに来い!とスカウトされた。

帰り道。
味見をしていたせいで遅くなってしまった。

タクシーに乗り帰りを急いだ。

「睦月君凄かったねぇ~よく分かったね?」

話しかけると睦月君は、ぐったりとしていた。

あれ?顔が赤いような……。

ハッ!!

慌てて睦月君のおでこを触ってみた。

熱がある……そういえば
味見の時に喋りっぱなしだったわ!?

どうしよう……途中でやめさせるべきだった。

睦月君にとったら話す事は、
ストレスになるのに…私の馬鹿。

オロオロしながら居ると
自宅マンションに着いてしまった。

(うっ…… )

怒られる覚悟でお金を払い
睦月君を抱きかかえるとタクシーから降りた。

そして、インターホンを押して
先生にオートロックを開けてもらう。

ドアを開けて待っていてくれた先生は、
この状況に驚いていた。

「随分と遅かったな……ってどうした!?」

「すみません……私の不注意で
睦月君お喋りし過ぎて熱を出してしまいました」

申し訳なさそうに話した。

「はぁっ?拓馬君の所で遊んでいたのだろう?
アイツ…睦月の性格よく知っているから
熱出すほど喋らせないと思うのだが……?」

ぐったりしている睦月君を受け取り
抱きかかえながら言う先生。

(うっ……ごもっともです)

「お前……一体俺に隠して何をしていたんだ?」

ギロッと睨み付けられる。

ビクッと肩が震え上がった。
怒っている…。