「君、いつも退屈そうだったから私が助けてあげなきゃってあのパーティに呼んで楽しませて、おじ様たちに抱かせて(笑)(笑)(笑)」

「なんでだよ!!な...んで?」

「五十嵐くんが好きだったから(笑)」

「嘘だ、そんなわけ、だって君は学校一綺麗で、人気者で...僕なんかとは到底生きる世界が違くて...もしそうだとしてもおかしいよ好きだからって」

「うん、嘘。」

「暇つぶしだったの。別に、誰でもよかった、ちょうど都合がいい人がいたから。誰かをめちゃくちゃにしてその人の大事な人もめちゃくちゃにしちゃうの(笑)」

「だから涼くんも」

「...涼?」

「涼くんが高一の時塾が一緒だったの、あんまり接点なかったけど、だんだん仲良くなってて、それである日告白されたの、返事に明日パーティがあるんだけどどうって言ったの最初は戸惑ってたけどきてくれた」

「どういうつもりだよ?!!!」

「どうしたの?落ち着きなって」

「君が涼を殺したの?もしそうなら僕は君を殺すよ」

僕は初めて人に刃物を向けた。

手が尋常がないくらい震えてる。

人を殺してよくニュースになってる
殺人犯もこんなに震えてたのかな。

「あっははははははははははははははははははははは(笑)(笑)(笑)(笑)ハァハァほんと君っておもしろい(笑)あーもう」

「うるさい!!!!!!本気だよ僕は」

「殺してみる?」

ナイフを向けても顔色ひとつ変えないで僕の目をじっと見て言う。

「2人でお酒飲んで薬やって話したりして」

「…」

「涼くんがほんとに来てくれるなんて驚いたけど(笑)」

「君は涼が好きだった?」

君は笑った。

「.....あなたはねなんにも知らなかったの、でもまぁわかんないよね。だから私言ったの、2人で話した後よかったらこの後ホテルでも行く?って、それでホテルに行った」

「‼︎」

「彼すごく楽しんでたみたい(笑)」

「え?」

「でも私じゃなくておじ様たちと(笑)(笑)その次の日1人でいっちゃって」

「君が?なんで、なんで?涼にも同じことを....?」

「どうして泣いてるの?五十嵐くん」

「大丈夫。」

君は僕を抱きしめてキスをした。

生まれて初めての感覚。

僕はとっさにその手を振りほどいた、腹が立ったすごく、けど君を殺すことはできなかった。

「ふざけんなよ!僕は!僕は!どんな思いで君を!君を....」

「私を?」

「......僕をいじめから助けてくれたのも話しかけてくれたのも、全部このため?」

「だって寂しかったんだもん、ずーっと1人で、家でも1人で、友達と遊んでも、男の人とヤッても。なんにもしても満たされなくて...君も私と同じでしょ?毎日生きてる実感なくてさ。」

君は語り出した、冷たい目をして。

君は何者?

君は何を見て、何を感じて何を思ってるの?

君はどうしたら泣くの?

「涼くんは特別だった、素直で可愛いくってさ。さっきの質問、」

「好きだった。だから殺したの、死んだ方がもっと愛せるから」

殺したら愛せる?

「だからバイバイ」

その瞬間僕の横腹に鋭いナイフが刺さっていた。

渡辺さんに刺されたんだ。

女の子に刺されるって、情けないなあ。

血がものすごい勢いで滲んでいく、倒れこむ僕、意識が朦朧とするけどまだ生きてる。

君はドアの方に歩いていってとうとう部屋を出て行った。

せめて、意識がなくなるまではいてほしかったな。

痛くてたまらない中、僕は君との思い出で一番楽しかった、あの頃を思い出す。














1年前 7月15日
五十嵐祐樹 屋上

こんな暑い日に僕はあいつに殴られてる。

あいつ拳が僕の頰に強く当たる、すごく痛い。

「うぐっゴホッゴホッハアハアハア...」

おまけにあいつの仲間が僕を抑えつけて腹をバッドで一発。

「アァァァァァァァァァ‼︎うぐっハァハァハァハァ」

「お前なー大きい声出すなよ、次これな」

僕の前に出されたのは誰しも小さい頃に獲ったであろうミミズ。

「ッッッ」

「お前ら抑えてろ、オラ、口あけろ」

「んん...ん」

「オイ口開けろよ、そうしないと明日殴る数倍にするからな」

冗談じゃなかった。

「くっそこいつ全然口あけねー」

「光無理やり口開けさせろよ」

「そうだな」

「んっはっあがっんんー‼︎うぐっがっアァァァァ!」

キィィィィィバタンッッ

錆び付いたドアの音が鳴り響く。

「おいっ離せ!せんこうだったらやべぇことになるっ」

「あっああ」

こいつらは僕を忘れてすぐさま音の方を見る。

「ハァッハァッハァッゴホッゴホッゴホッゴホッッッッハア」

危なかったもう少しで食べさせられる所だった。

「なんだ、ふみか」

渡辺ふみ、頭がよくて明るくてノリがいい男女共に人気者。

なによりみんなが見とれるほどきれいだ。

彼女はあいつのそばへ行き彼の耳元でなにかを囁いた。

何を言ってるかは聞き取れなかったけど。

「.....わかった。おいお前らいくぞ」

「えーどうしたん」

「いいから」

それを見ていた僕と目があった。

彼女は優しく微笑んだ。

彼女の目はすごく綺麗で吸い込まれそうになる一回見たら目が離せなくなるんだ。

残ったのは彼女と僕、二人だけ。

彼女は僕の方へ歩み寄る。

「傷だらけだね(笑)(笑)」

「え、あぁ、うん.....ぁのさっきありがとう」

「別に、うるさいのに消えてほしかっただけ」

「ああ、そっか」

「なんかスッキリしたい時とか薬キメに屋上にくるの。それなのに今みたいなことされてたらうるさいし、たまったもんじゃないじゃん?」

「え?!薬??」

「っっあははははははははははははははははははは(笑)(笑)」

「え?なに?(笑)」

僕もつられて笑ってしまう。

「さっき傷だらけって言ったじゃん。顔にすごい血ついてるよ(笑)ほら、拭きなよ」

彼女にハンカチを渡された、でも申し訳ないから返した。

「いいから拭きなって」

「うん」

お言葉に甘えてちょっと拭いた。

「ありがとう」

そのまま返してしまった。

「いいって貸しとく(笑)ちゃんと洗ってからまた今度返してよ(笑)」

「ああ、ゴメン」

「いいって謝んなくて、あはは(笑)私もう行かなきゃじゃあね!祐樹くん(笑)」

キィィィィバタンッッ

''祐樹くん''

無性に嬉しくなった。







ねえ、渡辺さん。

本当に全部嘘だった?






もうあの頃には戻れない。