「失礼しますっ!今日からstyle lifeに入店しました、牧田 奈々です!よろしくお願いいたします‼」


はりきって、大きな声で元気よく挨拶する。

そして、あとの二人も私の後に続くはずだけど………


聞こえてきたのは…………



「痛い。踏んでる。」



そして、見上げた先には………



眉間にシワを寄せ、私を睨む黒木マネージャー。


えっ。痛い?



視線を足元へと落とすと……


黒木マネージャーの輸入ものであろう革靴の上に乗るのは、私の安いパンプスの先。



「ひっひぃっ!!す、すみません‼」


私は慌てて足をどける。


黒木マネージャーの革靴にはしっかりと私の靴の後が残っている。



どうしよう!どうしようどうしよう!!


何とかしなきゃっ!!



私は咄嗟にしゃがんで、服の袖で黒木マネージャーの靴を磨く。


「ちょっ!おい!!やめろ!」


黒木マネージャーは慌てたように足をどける。


「お前何考えてんだよ!いい加減にしろっ!!」


そう言って黒木マネージャーは部屋を出て行ってしまった。