声の主は思ったよりも遠くにいて誰だかを認識できない。




(私の知ってる人...なのかな...。)




一人で考え事をしていると、葵ちゃんが




「あれって、新垣朔弥くんじゃない??」




新垣朔弥。学校で、密かに人気な男子。




クールで口数が少ないため、ミステリアスな朔弥くんとして噂にもなっている。




そんな人が何故私のことを知っているのだろう...。




頭を悩ませていると、朔弥くんにグイッと腕を引っ張られどこかに連れられていく。




「わっ!!えっ、ちょっ...何っ...?!」




後ろからは優李ー!!待ってるよー!!という声が。




葵ちゃん...せめて、呼び止めて欲しかったな...。




少し能天気なことを考えていたら、いつの間にか学校の裏庭に来ていた。




「あ、あの...私に何か用ですか...??」




そう尋ねても、何も言わずに私に背を向けている。




しばらくして、やっと朔弥くんは動いた。




そして、口にした言葉は...




「俺の彼女になって欲しい。」