「正直、どの会社でもよかったんです」 「え?」 訝しげな目で僕を見てくる。 「あなたが聞いたんですよね? 答えてやってるのに何だその態度」 「なかなか話さないから言いたくないのかと思った。無理に言わなくていいよ?」 「わざわざ無理をしてまであなたに話すと思ってんですか? まさか、私より早く生まれてきたってだけのジジイにそんな強制力があるとお思いで? とんだ勘違い野郎ですね」 「そこまで言わなくてよくない!? 僕の気遣い返せチクショー」 額にチョップを繰り出され、痛みに悶絶した。