ある少女が暮らす香川県小豆島。そこは美しい海が広がり、波が広がっていく。小さな島があるそこはとても田舎だが、素敵なところだった。彼女の名前は香川真琴。真琴は母である香川美奈代と一緒に船に乗っていた。そして、真琴がいる海の上にはそれはとてもとても素敵な歌が聞こえてきた。
~古いアルバムめぐり ありがとうってつぶやいた いつもいつも胸の中 励ましてくれる人よ 晴れ渡る日も 雨の日も 浮かぶあの笑顔 想い出遠くあせても おもかげ探して よみがえる日は 涙そうそう~  
その歌は陸の上に立っている制服をきた男女たちだった。彼らは真琴が通っていた高校の合唱部らしい。そして、合唱団たちの後ろから車が一台入ってきた。車の中から女の子が現れた。その子は真琴の妹の香川真弓。
「見送らんでええの?」
「これを真琴に…」そう言ったのはまさしく真琴と真弓の父親である香川雄司。雄司は真弓に茶色の封筒を預けた。それを手に持った真弓は
「わかった」と言って船の方へと走って行った。まだ、合唱部は歌い続けている。その中にいるある女の子が声を上げた。
「真琴、元気でなー」
「うん。ハスミンも…」真琴はハスミン通称、蓮見京子に少し涙声を出したがら言った。
「東京行っても合唱続けてねー」
「これ、お守りにする」そして、手に持っていたCD?を大事に持ちながら言った。
そして、京子は真琴に大きく手を振る。後ろから「お姉ちゃん」という真弓の声が聞こえた。
「これ、お父さんから」真弓は雄司からもらった茶色の封筒を真琴に預けた。
「お父さんのことは頼んだで」真琴は真弓に言った。
「お母さんのことはまかせたけ」真弓も真琴にそう言った。
ふたりはお互い目を合わせて抱き合った。
ポー‼船が出発する音だ。
「みんな、ありがとう。真弓、また歌おうな家族四人で」
真琴は手を振っている真弓と京子、合唱部のみんなに手を振った。
「うん」真弓も真琴の声に答えた。
真琴は美奈代とともに東京へと向かう。

ガコンッ‼ガコンッ‼ 電車の中だ。電車は満員だ。真琴は押されまくっていた。
(東京はハーモにどころか不協和音の集合体)
真琴はそう思っていた。そうしたら、『痴漢はいかん』という文字が流れた。そしたら、後ろから変な感じがした真琴。
(これって・・・・・・)
これは完璧に痴漢だ。声が出せないでいる真琴。でも、近くにいた少年が痴漢のことに気付いた。
「ちょっ」 その少年は痴漢を止めに出たが…
「痴漢‼痴漢‼」と真琴は少年の手をつかんでしまった。「痴漢?」少年は手をあげられながら聞き返す。「痴漢‼」真琴はさらに大きな声で言った。少年は勘違いされていることに気が付いた。
「違う、違う、違う。」少年は手を振りながら言った。「ん」と自分の携帯を指した。
「あっ‼」真琴も勘違いしていることに気がついた。
「ちょっと、おっさん」その少年は真琴を痴漢していた男を追いかけに行った。
「ちょっと、すみません」そう言いながら痴漢をした男も追いかけて行った少年も電車から出た。男は階段を上って行って見えなくなってしまった。少年は電車の方へと戻ってきたが電車の扉は閉まってしまった。真琴はその時電車の扉に一番近いところにいて戻ってきた少年に気がついた。真琴は口泊で『ごめんなさい』と手を合わせていた。
表参道駅に着いた真琴は電車をおりた。人生での初痴漢だった。
そして、歩いているうちに自分が通う表参道高校に着いた。
真琴は写真を持ちながら中庭みたいなところで一人で立っていた。