INSANITY GAME

なんで悠がここにいるの?


もう会えないかと思ってたのに…。

悠はじっと声が聞こえる方を見ている。

なにか様子がおかしい気もするけど…………考えすぎかな?


私は湧き上がる歓喜の感情を無理やり押しとどめると、一度小さく息をついた。


するとふと悠がこちらを向いた。

驚いたように見開かれる目。

気づいてくれた!


私はすぐさま声をかけようとした。今までなにしてたの?とか、元気だった?とか、聞きたいことは山ほどある。


しかしそれはすんでのところで遮られた。

私が口を開き声を発しようとしたその瞬間、話すな、とでもいうように悠の人差し指がその唇にあてがわれたのだ。

これには私も口を噤(つぐ)むしかない。


いま冷静になって考えてみると今は放送の真っ最中。

先程から死にたいのか、なんて簡単に言っているこの声の人なら、気に入らない人など簡単に殺してしまうかもしれない。



危なかった…。



私は気を取り直して声に耳を傾けることにした。