INSANITY GAME

「ね。ねぇ春…。なにこれ?うちらどうなってんの?」

ぐるぐると考えを張り巡らせていたところにいきなり美深が声をかけてきたものだから、私は思いっきりびくっと肩を揺らしてしまった。


「知ってたらとっくに教えてるよ…」

若干呆れてそう告げると納得したようにそれもそうか、などとぶつぶつ言いながら美深も辺りを観察し始めた。



そのとき_____


『目ぇ覚めたようだな。それじゃあゲームの説明をする。そこにある椅子に座れ。全員だ。』



放送だ。大方天井に設置されているスピーカーから。多分若い男の人。


それにしても超上から目線。それでいて強引。
この人が私達を誘拐した人なのかな?


でもまぁ、いきなり座れなんて言われても素直に従うのはほんの数名。

過半数の人が私のように戸惑って立ったままの状態だ。




なにされるか分かんないし…。


『…早くしろ。死にてぇのか』

見られてる?!
この人、私達を監視してる……。


っていうか何言ってんのこの人…
死、なんて…


しかしこれは衝撃だったのかみんな慌てて椅子に座っていく。
勿論私も。

まだこの人がいってるのが本当なのかの確証はないけど、私だってまだ死にたくない。

だから椅子に座って前を向く。


『よし。…まず初めに。このゲームは本気でやれ。こんなのくだらないとか思ってるやつ、そのうち死ぬぞ。』



これにはぞっとした。これは皆同じだろう。確かにこの場の雰囲気が一瞬にして凍り付くのを感じたし、実際唖然としてなにか言いたそうにしている人も多い。



それでも。私の意識はそんなところに集中できていなかった。
いた、のだ。


テーブルをはさんで丁度向かい側。












悠、だ。