恋とは停電した世界のようです


「そっか…知ってたんですね」

「ルーカスと何かあったの?」

こちらを窺うような
やさしい声音の問いかけだった。

「あの」

ただ、なにを話していいのかわからなくて、じっと俯くと
「ああ、そういえば」と彼女が思い出したようにつぶやいだ。

「自己紹介、まだだったわね」

彼女の黒髪が、さらりと肩をすべる。

「改めまして、麻友子ちゃん。美咲(ミサキ)です」

そう言って瞳を細めた彼女は――…


「兄のルーカスがいつもお世話になってて、ありがとうね」

写真立ての中と
同じ表情を見せた。