誕生日から一週間が過ぎて、
わたしは帰りが遅くなることが増えた。

図書館で勉強をしているとか
学校の行事だとか適当に、それらしい嘘をついて。

状況を知るはずのない兄が、もしルーカスさんを家に連れてきたらと思うと
想像しただけで、気まずさに耐えられなかったからだ。


携帯には、一度だけルーカスさんからメールが届いた。

話がしたいという内容のものだったけれど
それは今でも返せずに、空白の未送信メールが眠っている。

結局のところ、わたしの中で
ルーカスさんは兄に気を遣って
なかなか本音を言い出せなかったのかもしれない、という結論に落ち着いた。


(距離感って大切なんだな…)

学校からの帰り道、しみじみとそんなことを噛みしめながら
次に恋をするときは、相手との距離には気をつけようと思った。