恋とは停電した世界のようです


「だったら…」

自然と、視線は隣の手に移った。

触れてみたいとおもった。
触れてほしいとおもった。

埋めることのできない数センチ

きっと、これは無言のボーダーライン


壊れてしまうかもしれない
ギリギリの、ライン


「手を…つないでほしい、です」

つぶやいた言葉は
水滴のような儚さでわたしたちのあいだに、ぽたりと零れた。


ふっ、と彼の瞳が驚いたように変わるのが
微かに揺れた空気で伝わってきた。


(どうしよう…)

しまった。

そんなふうに、咄嗟に後悔しても
もうおそい。