恋とは停電した世界のようです


「今日は何も持ってきていないのですが…
麻友子さん、お願いごと
なんでもいいので、ありませんか?」

「えっ、」

予想もしていなかった言葉に驚いて
まじまじと彼の顔を見ると
紺碧の瞳に映ったわたしが、ゆらゆらとロウソクのように揺れていた。


「僕にできることがあれば、言ってみてください」

ふわり、と目尻をほころばせて彼がわらう。

その優しい笑顔に、自然と胸が詰まった。


(…してほしい、こと)


幾つかある。

殆ど口にはだせないものばかりだけれど…


「なんでも、いいんですか?」

そろりと問いかけると
「yes」と唄うような音程が、鼓膜をなでた。