途端に、ひっそりと膜をはっていた硝子のような空気がパチンとはじけて
ガクッと肩の力が抜ける。
結ばれていた視線も解けてしまって
ルーカスさんの瞳は、兄の方に向いてしまった。
動く気力が足りなくて、ぼうっとしていると
ルーカスさんが長い脚を折るように立ち上がって、玄関へと消えていく。
「オカエリナサイ、三澤さん。お邪魔してます」
「おう、ルーカスさんきゅーな!」
どうやら兄を迎えにいってくれたらしい。
兄とルーカスさんが、それぞれ買い物袋を片手にリビングに戻ってきて
「いやー、今日スーパー行ったら冷凍食品も安くてさぁ。買い込んでたら、ちょっと遅くなっちゃって」
ごめんな。と言いいながら
兄は遠慮なく、わたしの頭をわしゃわしゃと撫でた。
