恋とは停電した世界のようです


ふたりでイチゴをかじりながら、
とりとめのない会話をして

話題が、兄からルーカスさんの妹の話へ移ったときに
ああ、そういえばと思い出して、一度わたしは自分の部屋に戻った。

「これ、以前お借りしたパジャマです。返すのが遅くなって、すみません」

アイロンのかけおわったパジャマを袋に入れて渡すと
彼は少し驚いたように

「わざわざ洗濯を?」

「本来なら新しいの買って渡すべきかなって迷ったんですが…」

「いえ、そんな…」

長い睫毛が、そっと伏せられて
「ありがとうございます」と恐縮したようにルーカスさんは小さくわらった。

「もしかして、わたしと妹さんって年齢が近かったりしますか?」

パジャマのサイズからして
なんとなく、そうかなと思って。と付け加えると

「いえ、妹は僕と3つ違いなので…
僕が今年で28だから、あまり近くはないと思います」

「そうだったんですね、すみません」

「大丈夫ですよ。それに、こういった話は他の人にする機会がないので新鮮です」

まるで秘密を共有するときのような顔で
彼は唇の端だけを持ち上げた。