恋とは停電した世界のようです


じっとしていると、
ガサガサとスーパーの袋が擦れる音や
お湯を沸かす音が聞こえてきて、なんだかふしぎな気持ちになった。

テレビのスイッチをつけると
ニュース番組が報道されていて、いちおう目で追ってはみるものの
内容はちっとも頭の中に入ってこない。

しばらくすると、
ルーカスさんはイチゴの盛られたガラスの器と
湯気の立つマグカップを運んできた。

彼に勧められるままマグカップに口をつけると
温かい湯の中に、とろりとした甘さを感じて
ヒリヒリとした咽喉の痛みが、やわらいでいくようだった。

「これ、あまくておいしいです」

そう告げると彼は、ふっと目を細めて

「ハチミツが入っているんです。咽喉に、とても良いんですよ」

「…ハチミツ」