恋とは停電した世界のようです


深く眠れないまま、
うとうとと眠りの浅瀬を彷徨っていると
ピンポーンと階下からインターホンの音が響いて、ハッと瞼が開いた。

時計を見ると18:16と表示されていて
宅配便だろうかと思いながら魚眼レンズをのぞくと
初めて会った時と同じように、ルーカスさんが扉の向こう側に立っていた。

あわてて洗面所で髪の毛を梳いたあと、扉を開くと

「すみません、急に。風邪、ダイジョウブですか?」

と心配そうな表情で訊かれた。

「はい…あの、大丈夫です」

「三澤さんも一緒に会社を出てきたのですが…」

「あ、たぶんまだ買い物してるんだと思います」

そんな話をしていると、玄関からヒュウッと冷気が入り込んできたので
急いで彼を部屋に通した。

ルーカスさんはスーパーの買い物袋を片手に

「少しキッチンをお借りしてもいいですか?」

「はい、あの…でもお茶を」

「麻友子さんは、休んでいてください」

困ったように彼がわらうので、
私は大人しくリビングのソファーに座っていることにした。