恋とは停電した世界のようです


結局、兄は時間ギリギリで仕事に向かった。

いつも仕事で忙しいぶん
会話は限られてしまうけれど、こういう時の彼は
とくべつに、やさしい。


枕元のポカリスエットに手を伸ばしながら時計を見ると
もう一時間目が始まっている頃だった。






寝たり起きたりを繰り返して
眠れないあいだは、携帯で動画を見たり
昔買った漫画を読んだりしながら過ごした。

夕方になる頃、兄から電話があって

「ごはん食べて薬飲んだから、ずいぶん楽になったよ。
とりあえず朝よりは大丈夫」

そう告げると彼は心底ホッとした様子だった。

「今日、定時であがるから。
何か食べたいものあるか?」

「うーん、ハーゲンダッツかなぁ」

「はいはい。イチゴ味?」

「ううん。チョコブラウニー」

「おっけー。晩ごはんも買って帰るから、ちゃんと寝とけよ」

「うん。ありがと」

通話を終えるとを、心美から
体調を心配するメールが届いていた。

すぐにメールを返してベッドに潜り込むと
今日は家事をしなくて良いから楽だな…なんて考えが浮かんできて
まだ少し重い身体を休めるように目を閉じた。