結局、兄は時間ギリギリで仕事に向かった。
いつも仕事で忙しいぶん
会話は限られてしまうけれど、こういう時の彼は
とくべつに、やさしい。
枕元のポカリスエットに手を伸ばしながら時計を見ると
もう一時間目が始まっている頃だった。
*
寝たり起きたりを繰り返して
眠れないあいだは、携帯で動画を見たり
昔買った漫画を読んだりしながら過ごした。
夕方になる頃、兄から電話があって
「ごはん食べて薬飲んだから、ずいぶん楽になったよ。
とりあえず朝よりは大丈夫」
そう告げると彼は心底ホッとした様子だった。
「今日、定時であがるから。
何か食べたいものあるか?」
「うーん、ハーゲンダッツかなぁ」
「はいはい。イチゴ味?」
「ううん。チョコブラウニー」
「おっけー。晩ごはんも買って帰るから、ちゃんと寝とけよ」
「うん。ありがと」
通話を終えるとを、心美から
体調を心配するメールが届いていた。
すぐにメールを返してベッドに潜り込むと
今日は家事をしなくて良いから楽だな…なんて考えが浮かんできて
まだ少し重い身体を休めるように目を閉じた。
