二次元に恋をしている頃は、楽だった。

だいすきな登場人物の出番が増えるたび興奮したし
なんでも自分の都合の良いように妄想が出来て
傷つくことなんて一切なかったからだ。


現実でも、何度か失恋は繰り返してきたけれど
深く傷ついたかと言われれば、あまりよく覚えてはいない。


ただ、あの日。
冬休みに入った二日目の夕方――…

雨の中、ルーカスさんと偶然逢って

「こんな時に、僕のことを気遣ってほしくないです」

強い意志を乗せた瞳で、
そう言われた瞬間

とても怖くなったのだ。

彼に嫌われてしまうかもしれない、
その事だけが

とても