後部座席の扉のボックスには「ご自由にお取りください」と
カラフルなパッケージの飴玉が幾つも詰め込まれていて
夜の灯りが車内に差し込むたび
まっすぐに通った鼻筋の横顔にはクッキリと影が落ちていた。
「あの…、」
窺うように声をかけると、ふっと彼の睫毛が揺れて
こちらへと視線がずれる。
「その、実はわたしも持ってきたんです。おすすめのCD」
呟いて鞄から袋を取り出すと
彼が「本当に?」と嬉しそうに私の手許を見詰めた。
夕方に見た青い瞳は
闇に混ざって、紺碧へと移り変わっている。
「日本の曲はまだ詳しくなかったので、とてもうれしいです」
「ルーカスさんの好みにあうかは分からないんですけど…もしよかったら」
「ありがとうございます。絶対、聞きます」
その声があまりに弾んでいたので
持ってきて良かった、と気持ちが明るくなった。
最初に会ったときは、どこか遠慮がちに微笑む人だと思っていたけれど
こうして無邪気にわらう彼を見ると
彼のわたしに対する距離感が縮まった気がして、どうしてもうれしくなってしまう。
