恋とは停電した世界のようです


「お兄ちゃんとルーカスさんは同じ会社の人…なんですよね?」

「ハイ。同で部署で働いてます」

「俺の後輩なんだよー」

それまで「うーん」とか「あー」としか発していなかった兄が
むにゃむにゃと口端を動かしながら、私とルーカスさんの会話に入ってきた。

「三澤さん、とても親切に仕事教えてくれます」

「ははっ、そんなん当たり前」

ほんのりと耳たぶを赤く染めたまま
「俺と席が隣でさ」と水の入ったグラスを揺らした。

結局、そのまま二人の職場の話になり
気が付けば時計の針は深夜の三時に移り変わっていた。