ふんわりと湯気の立つ蕎麦を啜ると、
大豆のように柔らかい醤油の香りが鼻に抜けた。
一瞬だけ胃が温かくなるスープとは反対に
冷やされたネギがシャリシャリと口の中で弾ける。
「美味しい…」
感動して、ぽろりと零すと
ルーカスさんが、ほっとしたように湯気の向こう側で目尻を細めていた。
「良かったです…調べた甲斐がありました」
「え?」
「あ、いえ…」
気まずそうに彼の視線が泳いだので、何も言わない方が良いかと思い
スープをこくりと飲み込んでいると
「その、職場で女性の方が話していたんです。それで…」
「そうだったんですか」
わざわざ訊いて調べてくれたらしい、彼の気配に嬉しくなりながら
ある事が気になった。
