恋とは停電した世界のようです


(あ…、これもいい匂い)

ふんわりと頬を包むフルーツとハーブが混じったような化粧水の香りに
ほうっ、と息をつきながら
きっとこれも高いんだろうな…と思わずにはいられなかった。

シンプルなボトルに記されてる名前は
クラスの女の子たちが、よく話題に出していた気がする。



リビングに戻ると、メガネをかけて雑誌に視線をおとす
ルーカスさんの姿があった。

「あ、あの。ありがとうございました」

「いえ、妹のもので大丈夫でしたか?」

「はい、全然!むしろ私にはもったいないぐらいで…わたしなんて、いつも300円の化粧水ぐらいしか使ってないから」

そこまで言うと、くつくつと喉を鳴らして
目尻を細められてしまった。

「じゃぁ、次はこちらへ来ていただいていいですか?」

「?…はい」

そう言って案内された部屋に入ると
ベッドが視界に飛び込んできた。