「三澤さん、部屋まで行けますか…?」
「ん~?んー、あー、大丈夫。ぜんっぜん、へーき!」
そう言いながら、兄はルーカスさんの肩にもたれたまま一向に動こうとしない。
兄の態度に恥ずかしくなってきて
「もう、お兄ちゃん!ルーカスさんが困っちゃうよ!」と声をかけると
「なんだぁ、お前こいつのこと気に入ったのかぁ?」と、とんちんかんな言葉を返されて余計に頬の熱が上がった。
ちら、と彼の方に視線を移すと
仕方がないですね、と言うように微笑んでいて
「もし、良ければ部屋まで案内してもらって良いですか?」
「えっ?あ、えーと…」
「おー、良い良い、上がって上がって」
わたしが言葉を返すよりも早く
兄がルーカスさんを
さっさと家の中に入れてしまった。
